Fさん

『ジェットコースターのお産』

 私にとって人生三度目のお産は、一言で言うと「ジェットコースターのお産」でした。それは、スピード感たっぷりで、ちょっぴりスリリングなものだったからです。

 陣痛が始まったのは、予定日を二日過ぎた17時頃でした。はじめは陣痛かどうかわからず、家にいてくれたパパに「もしかしたらきたかも。お酒は一応飲まないでね。」と伝えると、「ついに、来たぞ!」と、すぐに子どもたちに話をしていました。痛みが23回と続き、間隔を計ってみると約6分。助産院に17時半頃に電話をしました。助産師さんが出てくれて、「食事をすませてから、お風呂には入らないで来て下さい。」と三人目だからと配慮してもらいました。痛みが少しずつ強くなりながら食事をすませ、家族四人で車で助産院へ向かいました。

 助産院へ着いたのは19時頃。大分痛みは強かったけれど、まだ少し余裕がありました。内診してもらうと「子宮口は5cm開いている。いい感じ。赤ちゃんの向きがまだ少しはまってないかな。」とのこと。矢島先生は落ち着いた表情で「以外と三人目は時間がかかることがあるから、今日の日付で生まれるかどうかねぇ。」と話してくれました。上の子2人(6歳と2歳)がいるので、正直「そんなに遅くなったらイヤだなぁ、でもどうかなぁ、お風呂に入ってきた方が良かったかなぁ。
などと考えていました。

 助産院の軟らかいズボンに着替えて、お産のお部屋へ。この時も5~6分間隔のままで、その5~6分が随分長く感じました。助産師さんがバースプランを見て、お部屋を暗くしてくれ、陣痛の時におしりを支えてもらいました。とっても気持ちが良かったです。

3回程ゆるやかな陣痛が続いたので、赤ちゃんの向きを良くするために腹ばいの姿勢になりました。すると急に陣痛が強くなりはじめ…。2回の腹ばいの後には、いきみたくなるほど陣痛がガンガンに強くなっていました。この時にはもうジェットコースターで言うなら頂上へ向かってグングン登っている感じです。体も熱くなっていました。

 助産師さんが「すすんでますね!」と言ってくれTVの部屋に待機していたパパ、子供たち、矢島先生達を呼びに行ってくれました。暗くしていた部屋の灯りがつき、みんながきて一気ににぎやかになりました。私はもうかはりの痛みに声を上げあちらの世界一歩手前という感じでした。

 そうしていると、助産師さんか矢島先生に「立ちましょう!」と声をかけられました。「三人目のお産は立ち産をしてみたい!」と事前に伝えてあったので、声をかけてくれたのですが、私は「え?もう?!」とびっくりしながらも支えられるがままに、パパに抱きついて立っていました。かなりの痛みに、「あー、やっぱりお産は痛い!」と思いつつ、「もう出てきちゃうのかな?」とも思いつつ、かなり全身に力が入っていたと思います。みなさんが「ファーだよ、短くファーファー」と声をかけてくれ、助産師さんが手を強く握ってくれパパが支えてくれ、本当に心強かったです。

 立つことで重力が働き、赤ちゃんも出やすくなるのか、2・3回いきむと頭も体も出てきてくれました。立っていた時間は約6分だったそうです。その6分は、ジェットコースター(立ち乗り)をかけおりていくようなあっという間の時間でした。私にとってのフィーリングバースは、今回そのスリルとスピードを感じたことでしょうか。

 助産院に着いてから1時間での出産というあまりの早さに、しばらく放心状態でしたが、赤ちゃんを自分でとり上げて(パパとはさんで)上の2人の子どもがたくさんのスタッフのみなさんに囲まれて安心してお産に立ち会えて(2人ともとってもいい顔してました!)、なにより赤ちゃんが無事にうまれてきてくれて、本当に良かったです。

 産後は後陣痛(三人目は辛いですね…)に苦しんだり、乳首を浅くすわれていたくなったり、寝られなかったりして、少々元気をなくす夜もありましたが、退院を明日にひかえた今日は、いいお産が矢島助産院でできて本当に良かったと心から思っています。

 矢島先生の落ち着きのある安心感と、助産師さんの惜しみない心配りやあたたかい手のぬくもりと、実習生のみなさんの明るさに支えられたお産でした。

入院中もおいしくて体が喜ぶ食事に、毎日の母体ケア、顔をあわせるとスタッフの方から「痛いところとかないですか?」などなどの声かけ、食事中にお部屋掃除、同じ入院中の方との食事、すぐに持ってきてくださる洗濯ものなどなど、どれも矢島助産院ならではで、一人目も2人目も違う助産院で出産している私にとって、「三人目、ここで出産できてよかったー!」と思えることばかりでした。

矢島助産院そのものが“母性”のようだと感じました。スタッフのみなさんの雰囲気もとても良くて、コミュニケーションがとても健康的とうかなんというか。安心して入院生活を送れました。そして“教育的”だなとも思いました。わからないことがあると、具体的にわかりやすく教えてくれました。三人目なのにおっぱいのあげ方も忘れていた私にコツを教えてくれたり、後陣痛のワケを教えてくれたり…。後期学習会で矢島先生が職場体験の中学生に話を聞いている姿も印象的でした。おまけにみなさん共感的で本当に優しい!

何だかツラツラと長々と書いてしまいました…。私にとっての三度目の出産を温かく支えていただき、本当にありがとうございました!

この体験を宝物にして、これから私にできること(まずは体を休めること、三人の子育て、素敵なお産を友人や娘たちに伝えていくことなど)をしていきたいと思います!